多種多様な情報が闊歩する中、ヴァイオリンという楽器について改めてクローズアップしてみます。一人のヴァイオリン弾きのたわごと、レッスン・プロローグ その3
あなたは自分で弦の張替えができますか?【続き】
弦は、素材で分けると大きく3種類、ナイロン弦、金属弦、ガット弦です。
ナイロンや金属の周りをコーティングしてガット(羊の腸)の音色に近づけたもの、逆に、ガットにコーティングして華やかさを加えたものなどなど。
どのメーカーも新作を競っていますので、気になるとちょっと使ってみようかなと、浮気心を抱かせるものです。以下は私の経験値からの意見ですのでご容赦ください。
1番線のE線のみセットでなく別メーカーの金属弦を使う人もいます。他の弦も例えばG線だけ変える人もいます。ゴールドやプラチナでコーティングされたもの、太さも選べるものがあります。私は一般的なシルバーですが、たまにゴールドを張ってみることもあります。プラチナは相性が良くなかった記憶があります。
E線は細くて切れやすい弦なので特にスペアが必要です。また、E線を購入する時には、ループかボールかを確認しましょう。自分の楽器のE線の器具によります。私は今はループなので、弦のメーカーによっては、ボールしか出してない事もあり、そういう時は、えいっ!と玉を引き抜いて使っています。
弦は、まだまだ綺麗と思っていても、よーーく見ると結構変色していたり(錆びている)することがあるので、切れてからだけでなく、マメにチェックして交換しましょう。ティッシュペーパーで裏まで拭くと錆が分かりやすいと思います。
弦にはオーストリア製、ドイツ製など有名メーカーがたくさんありますが日本製は余り見たことがないかもしれません。
本当に個性的なデザインの袋が多くて素敵です。コレクションしたくなります。
小中学生の頃は、ナイロン弦の”ドミナント”、これ一筋で悩みはなかったのです。張りやすいなど、初級者にも扱いやすいやすく安定した音だと思います。パールマン氏もこれをしょっちゅう張り替えて使っていると聞いたことがあります。大体1週間で張り替えられているとの噂でした。
分数楽器にはサイズに対応した長さの弦がありますが、私はひとつ上のサイズの弦を張っていたのでハサミで余分をカットしていました。お勧めはできません。
中~高校生位の頃、弦の種類によって音色に大きな差があることに気付いてから、新作弦や、プロの使っている弦が気になって、あれこれと試してみました。だいぶ無駄な出費もありました。
ナイロン弦は扱いやすく、新作~オールドの楽器まで大体の楽器に合うと思うのですが、消耗も早いかな(音が出にくくなるのが早い)と感じるので早めの交換をお薦めします。
”エヴァピラツィ”など高級金属弦はキラキラした音色を好む方、それにマッチした曲にむいているかもしれません。他の種類と比べて湿度等に影響されにくいと思います。キンキンした音を和らげる為に金属にナイロンなどを巻いたものもあります。
E線のみは色々な金属弦を試しました。値段がどれも手頃で試しやすいので、ゴールドやプラチナコーティングも使ったことがありますが余り音色の効果の違いはわかりませんでした。
“パッシオーネ”などガット弦の高級なものは、本当に羊の腸を使っているまさにガットなので、張って安定するまで伸ばすため、1週間位経たないと使えないものもあります(スペアの楽器で張って伸ばしました)。音質は好みですがやはり金属では出せないものがあると思います。プロ仕様のものは音量も金属に負けないものがあります。
本番が近くなると弦の交換をします。その材質にもよりますが、2~3日前迄には張り替えて馴染ませます。ガット弦はさらに3~4日追加が必要です。
昔は材質が腸だけだったので、今でも弦のことを総称して”ガット”というとのことです。現在も、”オリーブ”を代表として長年愛用されているガット弦は安定感があると思います。あとはパワーの好みだと思います。
自分の楽器、音の好み、演奏する場所、曲、ソロかアンサンブルか等を考慮して、それにマッチした弦を探してみてくださいね。ソロ向け、アンサンブルやオーケストラ向けなどがあります。
弦は松ヤニで汚れたり錆びたりするので、弾き終えたらティッシュで吹いてあげて、少しペグを緩めて楽器への負担を減らしてあげましょう。
購入した弦は錆びないように、私は弦の紙袋のまま、ジップロックにシリカゲルと一緒に保管しています。楽器ケースに弦ケースが附属しているものもありますね。
常に家に2セット位の予備があると良いのではないでしょうか。私はケースにも常時、ワンセット入れています。